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貧しくてもiPhone

iPhoneはだいたいカッコよく、操作性もたぶん優れている1)

その一方で価格も高い2)が、周りを見渡してみると、カネ持ってなさそうな若者でもものすごく使用率が高い。 コスパ、実用性重視の世の中で、数少ない例外に思える。なぜなのか考えてみる。

大学生

金持ってる人がiPhone持ってたって、全く不思議ではない。 よりコスト意識がシビアそうな層が使っていることを考える。まずは大学生。

同世代の大学生3)の知っている人、知らない人でも教室で目に入るのはほとんどが、iPhone使用者だ。 80〜90%くらい、いくかもしれない。 逆にAndroidを使っているとちょっと変わってますねという目で見られたりする。ちょっと理不尽。

iPhone使用率を感じた例がある。 コンパで席を決めるとき、スマホを預かってシャッフルし、机に置く4)。そして置かれたところに人が座る。 シェアが異様に高いのでカバーの種類が多く、みんな特徴的なカバーをしているので、そういうシャッフルですぐ席を決めて座れるらしい。同じだからカバーが豊富でわかりやすいって一周回ってる感じがする。5)

そのくらい、高い割合だ。 なぜなんだろう。

JK

ネットで見かけたところによると、女子高生はよりiPhone比率が高いという。 90%にも達するらしい。ネットなので信憑性はなく、個人的な体感もないのだが、たしかに使ってそうなイメージはある。

それを想像させるような話を聞いたことがある。 中学2年生の娘がいる人の話だ。 娘がiPhoneを猛烈に欲しがっているのだという。上の兄弟の例から言えば、高校から持つことになっているが、前倒しで、さらにiPhone(最新)であることを譲らないらしい。普段からそんなに欲しがる子ではなかったので困惑しているとのこと。

理由を聞くと、「みんな持ってるから」(コワい)。

昔ゲームが欲しいときの常套句だった言葉6)だが、状況はもっと深刻かもしれない。 JKの同調圧力はスゴそうだし、何よりLINEとかで、学校以外で会話が進んでいく。 もし参加できないと…ハブ!ハブ!家にいても休まることはなさそう。今JKじゃなくてよかったと思う。7)

別にiPhoneじゃなくてもよさそうだし、なんなら携帯電話でなくてもWifiがつながるやつならなんでも良さそうだが、そうではないらしい。 ブランド志向の目覚め…。今はエルメスとかヴィトン8)ではなく、iPhoneなのかも。

電子機器はもはや性能でなく、ブランドへ移行しているのかもしれない。 ブランドはコスパで考えない。違和感を感じるのはこれが原因かもしれない。

とはいえ、高級ブランドって認識されているわけではない。 あくまで中流とか普通ってコトを示すブランドというのが日本らしいかもしれない。 誰もiPhoneを使っていて金持ちだとは思わないが、iPhone以外を使っていると中流以下だと思われる、みたいな。 平均所得からは基準が高すぎるが、それが中流とみなされると思っていて、下層の人々も頑張って買っている(目に見えない、ほかの部分を我慢して)イメージ。

貧困フリーター

身の丈に合わないiPhoneは学生だけではない。

テレビの貧困特集で取り上げられていた20代の人が、iPhoneを使っていた。 案の定インタビュアーに突っ込まっていたが、時間がないとか手間がかかるとか、違約金がかかるとか言って結局やらず。 テレビに取材に応じるような貧困にあえぐ人は、被害者ぶってる率が高いような気がする。

食べるものを減らしてでも買うって、これもブランドか。iPhoneがあれば少なくとも金持ってる人と同じ、そんなに違いはない、と思い込める。 どれだけ高いか知らないという無知も、あるかもしれない。

若者のiPhoneくっつき(離れの反対)

若者の〜離れをよく聞く。車とか恋愛とか家とか、まあ無数にある。 昔の若者どんだけ色々やってたんだ、デフォルトがおかしい、と思うが、経済成長が前提なので借金してでも〜するのが普通だったらしい。 毎年上がる給料、好調な経済、楽観的なムードが若者に色々やらせてたんだろうと思う。

車も家も恋愛も離れたが、逆に、「くっついた」ものもあるはずだ。 その1つがスマートフォンかもしれない。 携帯会社の巧妙な言い方で隠されているが、若者はローンを組んで、10万円超えのiPhoneを2年に1回買っている。高い通信費はまどろっこしいサービスに隠され、買い換えることもできず、ときにはひび割れたまま。

スマートフォンの「普通」のレベルは異様に高い

iPhoneは明らかにフラッグシップモデルの価格で高級品だが、使用者はそう思っていないように思える。 スマートフォンの「普通」のレベルは異様に高い。 金持ちと、貧乏な若者が同じものを使うことって歴史的にほとんどない。不自然極まる。

…一応自由意識で選択していることになっているが、選ばされてないか?と思う。

パソコン持ってないから説

つまり、不可思議なiPhoneシェアはだいたい、社会に選ばされているためだと思っていた。

違うかもしれない。 コンピュータ保有率の低さと関連があるかもしれない。 日本は各国と比べて、タブレット、ノートPC、デスクトップPCの保有率が明らかに低い(特に若年層が顕著)。 変わらないのはスマートフォンの保有率だけだ。

はじめて自分で持つ端末がスマートフォンであったり、共用でも家にパソコンがないということは、珍しいことではない。 多くは高校生になってスマートフォンを所有したあとPCを買い足すことはなく、スマートフォンで完結する。10)調べ物だろうと何だろうとメインで使うため、高い性能や使いやすさ、信頼性を重視するのだ。 見かけを気にしてムリしちゃってるとかではなく、スマホだけに使用を集中させるため必要なわけだ。また、お金もPCの分をスマホに回すから、高くても比較的耐える。

若年層のiPhone使用率が高いのは、PCを持ってないからだ。逆にオジサンがAndroid率が高いのは、パソコンと組み合わせて使い分けてるんだろう11)。そんなにスマホにこだわりや優先順位がないのだ。

ということで…ブランドというより、スマホ一本に絞るため性能と直感的な使いやすさ、信頼性を必要としているといえそうだ。 「iPhone使いやすいから」という言い方は正しかった。ただし前提が…「パソコンを使えない私でもカンタンにサクサク使える」ということだったんですね。パソコンもスマホも安いのをどちらも買ったほうが財布もパフォーマンスもいいと思うが。

パソコンを買わないのはDPIのため説

一本に絞るのはわかった。ではプラスでパソコンを買わないのはどうしてなんだろう。iPhone一本でいこうとするのはどうしてなんだろう。 経済的なものを考えたが、…経験的に、そうではないと思う。

iPhoneとPCを比べて、圧倒的に違う部分がある。画面の綺麗さだ。iPhone(や普通のスマホでも)に慣れたら、一般的なPCには戻れないかもしれない。スマホ使用以前はそうは思わなかったが、多くの普通のパソコンの画面は汚い。 画面が綺麗に見えるかはDPIで決まる。画素の密度のことだ。 PCとスマホはそう解像度が変わらないが、面積が違う。密度に圧倒的違いがあり、文字の綺麗さにも違いが生まれる。 私は4Kのディスプレイを使っているが、もうフルHDには戻れない。読んでいられない。

技術的なものは一方通行というか、新しいものに慣れてしまうと戻れなくなる。あんなに驚いたプレステ2だが、今さらあの画面でゲームはできないと思う。いかに優れたゲームがあっても、単にこっちが慣れてしまったというだけで色褪せる。

今や文字を読むことも、スマホのほうが綺麗でやりやすかったりする。同じ画質にしたいなら、4K ディスプレイが必要だが、まだ非常に高価だ。

パソコンが必要なのは生産的なことをするときだけだ。しかしWEB上にはコンテンツやサービスが溢れている。ほとんどの場面で無料で消費するだけで楽しめる。メンドーな生産的なことをわざわざ買ってはしない。

謎に思っていた「身の丈にあっていない」iPhone使用だが、実はけっこう合理的なのかもしれない。

1)
iPhoneを所有したことはない。iPodやiPadは使っていたことがある
2)
10万円くらい?私は貧しいので、Androidを格安SIMで使っている。そりゃお金があればいいモノを使いたいけど、若者ってカネ持ってないのが普通だろう?
3)
ここで例にあげるのは地方国立大学。家が中流の人たちが多いと思う。
4)
一般的かは知らない。
5)
みんな同じで、みんないい。
6)
これで買ってもらった記憶はないが
7)
貧困な女子高生イメージ…だが親族の感じを思い出すとあながち間違いでないようにも思える。ずっとなにかメッセージのやりとりをしていた。若い世代で家庭での端末の使用時間の多くをSNSが占めるようになっているらしい。たとえば学校外、SNSで1時間コミュケーションを重ね続けたとしたら、たぶん仲良くなるだろうがそのほかと話しが合わなくなりそうだ。端末を持ってないと話しについてけないカモ。とはいえ…ハブるというより蛸壺化に進む気がする。やっぱり偏見に満ちた貧困なイメージだ。
8)
貧困な高級ブランド知識
9)
国民的な内気さと関係しているように思う。依存症的な人はたくさんいる
10)
スマホでレポートを作成する大学生は実在する
11)
そもそもガラケーで大したことに使ってなかったりする